不動産業にとっての銀行不動産業は他業種に比べて、年度ごとの波が激しい業界です。
数年間鳴かず飛ばずでぎりぎり生き延びて不動産売買が活況を呈した時に一気に儲けるというのが一般的です。これは売買や仲介業が当てはまりますから、不況時期でも生き延びるために自社で賃貸物件を所有したり管理業務を増やしたいというのが多くの方の考えるところです。とは言えそれは簡単なことではありませんので、どうしても不況期に堪えるために銀行の運転資金融資が必要になります。
また開発や売買では土地建物の仕入れ・建築代金を物件ごとのプロジェクト融資に頼るのが普通です。つまり銀行融資が無ければ物件を仕入れて販売する事業を全く継続できないということです。銀行が経常利益1,000万円を融資基準だと決めればその数字を必死に作らなければ事業を継続できないということになります。
銀行が不動産業の会社の命運を握っているというのは紛れもない事実です。
銀行対策を意識した経営では会社の命運を左右する銀行との間で、必要な時に必要な資金を融資し協力してもらえる関係を強固に作っていくにはどうすべきしょうか。
先ず第一には可能な限り毎期安定した業績を確保し続けることです。
今年は売上が10億円で翌年は2億円となるよりも、今年も来年も10億円になればそれに越したことはありません。物件の販売時期を何でも急ぐのではなく、適度に安定感を持って業績を維持することです。また銀行には決算説明やその他毎月の試算表の説明等、機会を見つけては細目に状況を理解してもらうように努めることも大事です。
銀行対策を意識した決算そして何よりも大切なのが、銀行から高い評価を得られる決算書を作成することです。
銀行はたくさんの決算書を目にしていますから、そのような銀行印の目から見て印象の悪い決算書を作らないことです。印象の悪い決算書とは、例えば科目内訳と貸借対照表等と一致していなかったり、一部の科目を省略していたり、多額の仮払金等一見して意味不明な不親切な記載があるものです。
私どもの会計事務所ではより積極的に銀行が高評価するような決算書ができるようにさらに上を目指します。そのためには例えば現金預金、売掛金、買掛金、在庫等のバランスに着目して、健全な経営として目に映るように努めます。また極力営業損益もしくは経常損益が改善されるような会計処理を採用します。
社長が全力で一年間かけて頑張ってきた成果が決算書であると考え、税法等で可能な範囲で会計事務所として考えられる限りの調整や検討をして決算を組むことになります。